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ペンギンの教えてくれた物理の話


今日は一日中大気が不安定。気温の高くなったり低くなったりと行ったり来たりでした。
明日は長良川でパラトライアスロンの一般の部に参加します。

ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)
クリエーター情報なし
河出書房新社

 動物たちの体に記録機器をつけて生態を探るバイオロギングという観察手法があります。アザラシ、ペンギン、クジラ、アホウドリといった人間が観察し続けられない潜水動物や飛翔動物に対して有効な手段で始めたのは論文に記されている限りで残っているのは1940年といいます。この本はそんなバイオロギングで明らかになってきた生物の生態の紹介やバイオロギングの歴史を記したものです。
ただ一味違うのはもともと筆者に物理好きというバックグラウンドがあった点でただ観察してわかっただけでなく物理的な法則を見つけることに着目している点が新しいところです。
筆者も指摘しているのですが生態学と物理学というのは真逆にも近いポジションにいる学問。生態学が多様性を尊重するのに対して物理は現象の普遍性を見出すことに価値を見出すわけです。であるからこそ筆者のような物理の目で生態を観察するというのは非常に面白いことと、思いました。
 筆者が本の中で紹介しているそのような法則として海の中の動物の泳ぐ速度が何で決まるかという話がありました。
最も早い海洋生物としてはマグロ、ホホジロザメ、エンペラーペンギン、シロナガスクジラなどが挙げられるのですが共通点としては体温が高くて、体が大きいということ。ただそれだけでは無くて壽々の抵抗とのバランスを考える必要があります。
体が大きくなればそれだけ代謝速度が上がり速く筋肉を動かせるようになるのですがその分、体表面の面積が増えるので抵抗が増えていきます。その差分が大きい動物が有利というロジックです。
代謝速度は体重の3/4乗で増え、水の抵抗は体重の2/3乗で増えていきます。
さらに有利にするには抵抗を下げフォルムということで流線型になるし、体が大きいというのは全長も増えるということもあるのでそういった面でも抵抗的には有利になりますね。

でマグロはどのくらいで泳ぐかというと時速7,8kmほどで自分が走っても余裕で勝ってしまうぐらい。
ただ最高速度という面ではこの巡航速度×2,3倍ということなのでそれなりです。
物の本にはこれより1ケタ上の値が書いていたりもしますがとんでもない間違いのようです。

あともう一つこの本で記されているのがペンギンやアザラシといった潜水で捕食活動をしている動物たちです。
潜水のチャンピオンはと言えばマッコウクジラで今まで記録された中では最も深い2035mという記録を持っているようです。
同じ肺で呼吸する生物にとって考えられないぐらいの深さです。
これらの生物の潜水能力のポイントは
1.酸素ボンベを大きくする=体が大きい方が有利になるが空気をそのまま取り入れてしまうと一緒に取り込まれた消費されないまま血管に残留し、浮上の際に泡となって放出され血管をせき止めてしまう。
 なのでそれを避けるために酸素のみの貯蔵を筋肉、血液で行っている。アザラシは潜水前に逆に息を吐き出しているとのこと。
2.消費速度を下げる 
 潜水徐脈=潜水すると心拍数が下がる。
 脂肪を利用して自然に浮上できるようにしている。
3、酸素ボンベを最後まで使い切ることが出来る
 =低酸素の状態でも体を動かせるメカニズムがある(原因はまだ不明)
先日行った箱根の水族館もバイカルアザラシが居ましたが潜水の名手とのこと。

人間と比べると生物にはまだ学ぶところが多いというのはやはり認識したことです。
筆者のように物理の目での再考が今後も進んでくれることを期待します。
 

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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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