水泳を本格的にやらないままトライアスロンを始めたのですが3種目の中でも最も抵抗を受ける競技であるので水中姿勢というのが大きな要素を占めることを繰り返し習ってきました。ただスタートについてはストリームラインが重要だというのは認識しつつなかなか泳ぎはじめとの間にある水中でのドルフィンキックの重要性が認識できていませんでしたが… この論文では競泳における推進動作の開始タイミング(いつキックやストロークを始めるべきか)を、流体力学的に明らかにした研究です。
結論から言うとスタートやターン直後の超高速域ではストリームライン(けのび姿勢)で姿勢維持、高速域ではドルフィンキック、やや高速域からクロール泳へ3Stageでそれぞれスピードの最高域を利用しながら速度が落ち込まない段階で次の動作へ切り替えていくことで最も早く泳ぐことができるということになります。これは確かに体感からもなんとなく納得いくものでそれぞれの速度域のうまみを最大限生かすということになりますがこの力vs速度曲線に関しては各個人の持つ抵抗や力や得意不得意に左右されるのでそれぞれ個人にとって有効タイミングは異なるということなのかと思います。 当然、速い選手は絶対速度が高いだけでなく落ちにくいのでより長くクロールをスタートするのを待つことが有効ということになりそうですがいちおうルール上は15mまではOK。ただ普通であればこれより前にクロールへの移行ポイントが来ることになるのかなとは思います。
そもそものストリームラインからなっていない自分にとってまずはそこからですが水中ドルフィンも体の硬さも相まって苦手なのでこれまたまだ自分にとっては伸びしろだと考えて精進しようと思います。その他のまとめ↓
1. 研究の目的
競泳のスタートやターン直後は、泳者が最も速い速度に達する局面です。しかし、速度が上がるほど水の抵抗(抗力)も急増するため、**「いつ、どの泳法に切り替えるのが最も減速を抑えられるか」**という最適なタイミングを特定することを目的としています 。
2. 研究方法
10名のエリート女子競泳選手を対象に、2つの実験が行われました。
- 実験1(プール): 通常のプールで最大努力のドルフィンキックとクロールを行い、それぞれの巡航速度($V_{const}$)を測定しました 。
- 実験2(回流水槽): 身体をワイヤーで固定した状態で流速を変化させ、各泳法における「ネットフォース(推進力と抵抗力の差)」を精密に測定しました 。
- これらのデータに基づき、速度とネットフォースの関係を数式(べき乗則)でモデル化しました 。
3. 主な結果
- 抵抗の増加パターンの違い: 速度が増すにつれて抵抗が大きくなる度合いは、**「グライド < ドルフィンキック < クロール」**の順に急激になることが分かりました 。
- つまり、超高速域では、手足を動かす(クロールなど)よりも、何もしないストリームライン姿勢(グライド)の方が抵抗が少なく効率的です 。
- 交差点(最適速度)の発見: 各泳法のネットフォース曲線が交差するポイントが2つ特定されました。
- $U_{SL-DK}$: グライドからドルフィンキックへ切り替えるべき速度 。
- $U_{DK-FC}$: ドルフィンキックからクロールへ切り替える(浮き上がる)べき速度 。
- 巡航速度との関係: ほとんどの選手において、これらの最適な切り替え速度は、自身が普通に泳ぐ時の速度(巡航速度)よりも高い値でした 。
4. 結論と示唆
- 最適な戦略: 減速を最小限にするためには、自分の巡航速度まで落ちるのを待つのではなく、まだ速度が高い段階で次の動作(キック開始や浮き上がり)へ移行することが有利である可能性が示唆されました 。
- コーチングへの応用: この研究は、スタートやターン後の「水中動作の長さ」や「浮き上がりのタイミング」を科学的な根拠に基づいて決定するための指針を提供しています 。



