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二刀流で天下を獲ったNVIDIA

NVIDIA(エヌビディア)大解剖 AI最強企業の型破り経営と次なる100兆円市場 – 2025/3/21 島津 翔 (著)

半導体栄枯盛衰の物語をするのであればNVIDIAとTSMCは欠かせない存在。前にTSMCの本を読みましたがファブレスとして世界一の企業となったNVIDIAに迫った本です。10年で株価160倍、売り上げ25倍となり成長はAIの普及とともに指数関数的に成長し、今や時価総額は世界一に。誰が半導体企業が天下を獲ると考えたか??というところですがこれはAIによる特需で片づけられるものではなく経営者や企業の意思決定の的確さとそのスピード、組織としての強さがあると言えそうです。この本で着目されている強さのポイントとしては大きく3つ。

1. GPU=ハードウェアとCUDA=ソフトウェアの生態系

NVIDIAの強みは、単なる高性能なハードウェア(GPU)だけでなく、そのハードウェアを動かすためのソフトウェアプラットフォーム「CUDA」を長年にわたって育成してきた点でここら辺は昔のAppleのIpod-itunesで囲い込んだ戦略と似ているのかもしれません。CUDAはAI開発者にとって使いやすく、多くのライブラリやツールが揃っているため、他の半導体メーカーが追いつくのが難しい強力な「参入障壁」になってます。いわば抱き合わせではあるのですが逆に言えば両方を開発できるだけの技術力があったということにもなります。


2. 「ジェンスン・ファン」というカリスマ性

CEOであるジェンスン・ファン氏の先見性とリーダーシップGPUを単なるゲーム用のグラフィック処理装置としてではなく、AIやデータセンターの中核を担う「汎用的な並列コンピューティング」の基盤として位置づけました。ただこれは研究者が行列計算に最適なツールと分かり活用しているのに気付いて一気にグラフィクスからAI計算向けメインに舵を切ったということで大胆な経営判断長期的なビジョンが、NVIDIAの現在の地位を築き上げた大きな要因として挙げられています。


3. 「オープン」で「超フラット」な組織文化

3万人規模の企業でありながら、NVIDIAは情報をオープンに共有し、役員会議には多くの社員が参加するなど、「超フラット」な組織文化を維持しています。これにより、部署間の連携がスムーズになり、意思決定のスピードが非常に速くなっています。この組織体制が、技術革新の速いAI業界において、常にリードを保つための強みとなっています。

セガが救ったNVIDIA…このNVIDIAの創業期の危機を救ったのが当時のセガの副社長であった入交昭一郎氏。 入交氏は、彼らが開発中の次世代チップ「NV2」に800万ドルの出資を行ったとのことで先見性という面で驚きのエピソードでした。ファン氏は日本はロボティクスのようなEdge側の物理AIでの伸長が期待できるとしています。Edgeでは特に日本企業としても強みのあるすり合わせでの最適化というのが必要となるのでその考えは正しいとは思います。ただロボットに関しては製品化という面では産業ロボットはともかくヒト型など分かりやすい分野ではまだまだとは思います。AIとの組み合わせで強みを発揮できるか注目となりそうです。

ハードウエアの復讐… インターネットとソフトウエアの発達でハード側は汎用品化するというような流れもありましたが人と違うことをするのであればハードで差をつけなければいけないということでApple、Google,Teslaなど半導体を自社向けに設計するところが増えてきました。これはTSMCという分業に寄与するメーカーがあってこそということにはなるのですがある意味、ハードとソフトのすり合わせと最適化が無いと差異化が出来ないという世界になりつつあります。NVIDIAのようにGPUとそれを動かすための環境双方で攻めることのできる企業は盤石なのだと思います。

この成長から学ぶとすればファブレスに代表とされる選択と集中、経営判断の高速化と柔軟なかじ取り、自社製品と相乗効果を築ける生態系の構築というのが挙げられるとは思いますがうまくいく、行かないは諸刃の刃…やはりリーダーの経営センスの良さというところにも関わってくるように思います。ともあれ半導体の世界は栄枯盛衰が激しいのが事実。数年でリーダーが切り替わっていくだけに自分たちにもチャンスが残されていると言えると思います。 ↓過去のTSMCの本のReview

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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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