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記憶は即興品

Neuroscience & Biobehavioral Reviews
The cognitive neuroscience of memory representations,Neuroscience & Biobehavioral Reviews,Vol. 179, December 2025, 106417
https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2025.106417

コンピュータの記録と人間の記憶の大きく異なるものとして再現性ということがあるかと思います。特に記録は唯一無二として変化するものがないのに対しては生物の記憶はもっと可塑性のあるもので思い出されるたびに変質し続ける要素があることがわかりつつあります。この論文ではそのような記憶の性質について分析したものとなっています。  指摘されているのが記憶は呼び起こされた際に外部の干渉、今までの経験などから再構成、再活性化されて生み出される即興作品のようなものであることです。ある意味、骨格だけが残されていてどのような内装、外装になるかはその時の状況次第という形で記憶が残っているということになります。なんで正確に記憶しないの?と忘れやすい自分からは思ってしまいますが脳の容量の限界、むしろ汎用性のある形にしておいてある程度、状況が変わっても記憶が生きるように構成する。ということでそちらの方が生存競争にも有利に働いていたのでしょう。ともあれテストなどで欲しいのは1回覚えたら忘れない記憶です… 今は外部記憶自体はアシストしてくれるモノが増えてきたのでもうそこまでは必要ないのかもですが。 この記録されたものに対するパトロールはSSDに対しても実際にも行われているのですがあくまでは発生するエラーの修正というのが主眼(参考リンク:SSDのSilent Data Corruptionとその対策)。 生物記憶の可塑性、柔軟性と電子記憶の正確さの得意分野を生かすことでますます知性は進化していけると思います。  論文の要約↓

本論文「記憶表象の認知神経科学」は、記憶を表象の観点から考察し、エピソード記憶の性質と神経基盤に焦点を当てています。

主な論点:

  1. 表象の区別: 記憶を表象を、認知や行動に影響を与える活動的な表象と、休眠状態の潜在的な記憶痕跡(エングラム)に区別します。
  2. 因果的視点: 記憶表象は、過去の出来事と因果的なつながりを持つ必要があるという視点を採用しています。
  3. 再活性化フレームワーク: 記憶の検索は、元の経験時に活動した神経プロセスが再び関与する再活性化に依存します。海馬のエングラムは、新皮質の活動パターンを符号化する「二次表象」として機能し、この再活性化を指示します。
  4. 記憶の構成と変容: 検索されたエピソード情報に意味的・スキーマ的情報が組み合わされることで、記憶は構成的な性質を持ちます。特に遠隔記憶では、想起による再符号化の繰り返しによって、記憶は修正され(書き換えられ)、元の経験から遠ざけられる可能性があります。

この研究は、記憶を単なる記録ではなく、因果的なつながりを持ちつつ、動的に再構築されるものとして捉えています。

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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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