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脳は世界をどう見ているのか ₋人間脳とAIの協業ヒント₋

脳は世界をどう見ているのか: 知能の謎を解く「1000の脳」理論 単行本 – 2022/4/20
ジェフ・ホーキンス (著), Jeff Hawkins (著), 大田直子 (翻訳)

脳と脳が生み出したAI。基本的な構想は人間の視覚や神経系からヒントにして理論が作られていることもあり、似通ってはいるものも違う部分もあるというのが現状ですがそこら辺を脳を研究しする神経科学者の立場から解き明かしてくれるのがこの本です。 人間の脳の特徴は「たえず学習する」「動きによって学習する」「たくさんのモデルを持って意思決定として表面に出るのはそれらを投票により決定した結果」「知識を保存するのに座標系を使う」 というのがある意味、人間の脳の特徴です。一方でAIにはデータ量、処理速度、そして感情的な制約がないことという点で、現在のAIは人間よりも優れた能力を発揮する可能性があるというのが筆者の指摘。人間の脳のように古い脳+肉体の制約に縛られた?構造にはなってはいないのでそれは利点でもありながら懸念点も残るところということでしょう。サイボーグは肉体をサポートするだけでなくAIで思考、アイディアを増強するというのがポイントとなって来そうです。 この本で記されている人間脳とAIとの違いの分析についての詳細要約は以下↓

1. 知識の蓄積量と即時的な検索能力

現在のAI、特に大規模言語モデル(LLM)やデータベースに接続されたシステムは、以下の点で人間に勝ります。

  • 膨大な知識の蓄積とアクセス:
    • 人間が一生かかっても読み切れない、テラバイト級のテキストデータ(書籍、論文、ウェブ情報など)を学習データとして取り込み、保持しています。
    • その知識から、関連性の高い情報を瞬時に取り出し、利用することができます。人間の場合、特定の情報を思い出すには時間や努力が必要で、時にはアクセスできません。
  • 正確な繰り返し:
    • AIは、学習した情報を完全に正確に再現できます。人間が記憶を再生する際には、常に忘却や再構成によるエラーが伴います。

2. 処理速度と並列性

AIは、電子的な処理速度において、ニューロンの化学的な信号伝達速度を持つ人間の脳を上回ります。

  • 計算速度:
    • 複雑な数学的計算や大量のデータ処理を、人間の脳とは比較にならない超高速で実行できます。
    • ホーキンス氏の「1000の脳」理論は脳の並列性を強調しますが、現代のスーパーコンピューターやAIハードウェア(GPUなど)もまた、特定のタスク(特に行列演算)において大規模な並列処理能力を持っています。

3. 「古い脳」の制約からの解放

この点が、ホーキンス氏がAIの可能性と危険性の両方に関連して強く言及している項目です。

  • 感情や衝動の欠如:
    • 人間の知能は、生存本能や感情、欲求を司る**「古い脳」(大脳辺縁系や脳幹など)**と切り離せません。この古い脳の機能が、時に非合理的な判断や行動、衝動的な意思決定を引き起こします。
    • 現在のAIは、この古い脳の機能(恐怖、欲望、生存への執着など)を意図的に組み込まれていません。そのため、AIは純粋に論理やデータ、目標達成のタスクに基づいて行動することができ、人間の感情的なバイアスや非合理性から自由であると言えます。
    • ホーキンス氏は、AIが人類を支配する危険性があるのは、この古い脳の機能(自己保存や支配欲)をAIに与えてしまった場合であると述べており、AIの論理的・非感情的な性質を、ある意味で人間が持たない「優位性」として捉えています。

4. タスク特化型の最適化能力

  • 深層学習の最適性:
    • 現在のAI(特に深層学習モデル)は、画像認識、囲碁、特定のゲームなど、一つの明確に定義されたタスクにおいては、人間を遥かに凌駕するパフォーマンスを発揮するように極度に最適化されています。
    • これは、人間の脳が汎用的な知能を目指して設計されているのに対し、AIはタスクごとの「特化」を追求できるためです。
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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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