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選択と集中から進化型コングロマリット経営へ

経営者のための正しい多角化論 世界が評価するコングロマリットプレミアム 単行本(ソフトカバー) – 2025/6/27 松岡真宏 (著)

選択と集中という使い古された言い回しは実は誤訳そしてあくまで株主、投資家目線でのポーズであり今後、進むべきは商社が実施しているような多角化経営=コングロマリット経営であるというのが筆者の主張です。これは過去と違ってVUCA(不確実性)が高く、世界の変化が速くなってきているということもあります。その先見性はバフェットが引退前に日本の商社の株を買い増したということに裏打ちされているともいえるのかもしれません。またこの流れ自体は特にヨーロッパでM&Aを通じた大企業体が近年、増えてきていることからも大きな潮流となりつつあることが指摘されています。第2のシリコンバレーを創ることを考えるよりは企業体の中でいかにリスクヘッジしながら挑戦し、新たな事業の種を育てて行くか? というほうが日本にとっては現実的であるというのは確かに納得いく内容でした。 その際、いかに自由に事業を生み出せる環境づくりができるかというのは会社の文化や風土などもありますがうまくいっている先例に学んでいくというのもあるでしょう。ともあれ今の事業だけにとどまることは先細りになってしまうということが危機感として共有されていなければならないと感じます。 主な要約は以下です。

  1. 「コングロマリット・ディスカウント」から「コングロマリット・プレミアム」へ:
    • これまでの株式市場では、多角経営(コングロマリット)は事業の非効率性や複雑さから「ディスカウント」(企業価値が割安に評価される)の要因と考えられてきました。
    • しかし、著者は、不確実性が増す現代においては、複数の異なる事業を持つことでリスクを分散し、安定的な収益を確保できるため、むしろ企業価値を高める「プレミアム」の要因になり得ると主張しています。
  2. ウォーレン・バフェットの日本商社への投資:
    • 著名な投資家ウォーレン・バフェットが、日本の総合商社に大規模な投資を行ったことを例に挙げ、世界的な投資家がコングロマリットとしての価値を再評価していることを示しています。
    • バフェットの投資は、日本の商社が持つ多角的な事業ポートフォリオが、長期的な価値創出とリスク分散に優れていることの証であると分析しています。
  3. 日本の現状と未来への提言:
    • バブル崩壊後、日本の多くの企業は「選択と集中」を重視し、短期的な収益確保に走りました。しかし、この戦略はイノベーションやリスクテイクの機会を失わせ、長期的な競争力低下を招いたと指摘しています。
    • 少子高齢化が進み、国内市場が縮小していく日本では、地方都市の企業が生き残るために複数の事業を持つ巨大企業が必要であり、多角化が成長のための重要な戦略であると提言しています。
  4. 「進化型コングロマリット」:
    • 成功する多角化の鍵として、事業間のシナジーを意図的に設計し、変化に強いポートフォリオを構築することの重要性を強調しています。
    • 単に事業を増やすのではなく、長期的な成長を見据えた投資と、全社的なダイナミックな意思決定を可能にするリーダーシップ、そしてリスクを受け入れる企業文化が不可欠であるとしています。
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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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