テーマパークのプロの感動をつくり出す仕事 なぜ、ゲストはリピートするのか? (講談社+α新書 885-1C) – 2025/4/3 松本 公一 (著)
会社の事業縮小に伴い一人で東洋エンジニアリングを飛び出しアトラクション創出企業を立ち上げた著者の価値提供ビジネスの極意。 この本は、単にテーマパークの成功事例を語るだけでなく、**「なぜゲストは何度もテーマパークに足を運びたくなるのか?」**という問いを通じて、ビジネス全般に共通する「価値提供」の重要性を説いています。価値を提供するというのは言うのは簡単ですが実現できているかというと並大抵の苦労ではなかったことをうかがわせる内容でした。テーマパーク業界に限らず、顧客の心を掴み、リピーターを増やすためのビジネス戦略や発想のヒントを得たい人にとって、非常に示唆に富む内容となっています。
主な内容とポイントは以下のような感じです。
- 「価値提供ビジネス」の提唱: 著者は、現代において「心を充足させる価値あるもの」を提供するビジネス、つまり「価値提供ビジネス」が重要だと述べています。コスパやタイパ(タイムパフォーマンス)といった効率性を重視する価値観とは対極にあり、感動や心の豊かさを提供することで、顧客は喜んでお金を払い、リピートするという考え方。これ自体は底まで新しいものではないかもしれません。
- テーマパーク成功の秘訣:
- 「物語の力」の活用: 最高益を叩き出すテーマパークには、共通して「物語の力」があると指摘し、これをビジネスに応用する方法を解説しています。
- 価格と価値の法則: テーマパークが値下げするとゲストが激減し、値上げすると殺到するという興味深い現象を挙げ、価格ではなく提供する価値が重要であることを示唆しています。
- ゲスト目線の重要性: ゲストの視点に立つための具体的なアプローチ(例:ゲストの目の前ではなく、隣に座ってみる)を紹介しています。
- 「プラス1のサービス精神」: 人気のテーマパークや超ロングセラーの絵本(ゾロリとかにもあったものですが)に共通する「プラス1のサービス精神」が、ゲストの心をつかむ秘訣であると述べています。
- 著者の経験と哲学: 著者は、かつてテーマパーク開発やアトラクションなどの企画制作の現場にいた経験から、具体的なエピソードを交えながら、感動を生み出す「価値提供ビジネス」の哲学を紹介しています。
- ロングランアトラクション「からだのひみつ大冒険」が最初の口コミをきっかけに成功した話。
- アメリカのレジェンドの「見ているか見ていないかは天と地ほども違う」という言葉が、著者の仕事の成長の土台になったエピソード。「百聞は一見に如かず」
- 小さな会社で最大の力を引き出す原動力となった「今からやろう会議」の取り組み。
特にテーマパークのポイントとして挙げているのが三段跳びで顧客を引き付けるやり方です。つまり「最初の感動」、「感動の減衰を防ぐ連続性」の組み合わせでディズニーでいうとまずワールドバザールで世界観に引き入れた後に各アトラクションで引き込むというのが大筋でその同じ構成をアトラクションの構成に取り込もうというものです。映画とかであれば終わりよければという盛り上げ方はありますがアトラクションはそこまで長くないので飽きさせないというのがポイントとなるようです。
またこの構想を得る際にどれだけの経験をしてきたか?それを基にどのような引出しを持っているか?というのが筆者の成功につながっているというのが理解できました。個人的な感覚からしてもやはり自分で体験して実感したものの方が強く記憶には刻まれるもの。迷ったらまずは行動というのが良いのかとは思います。



