古代世界の超技術〈改訂新版〉 あっと驚く「巨石文明」の智慧 (ブルーバックス B 2250) 新書 – 2023/12/14 志村 史夫 (著)
前回の日本編の超技術に続き古代世界に目を向けた本です。どちらかというとストーンヘンジ、ピラミッドといった「石文明」に着眼した内容。主な取り上げられている建造物と注目されている技術は以下…
ピラミッド: ギザの巨大ピラミッドの形成方法は直線傾斜路で形成されていてその傾斜路の傾斜の限界から角度が決まったのでは?との説を紹介。また石屋さんの知見から特に「重量軽減の間」というのがある必然性は無く自重で潰れないのはおかしくないという知見を展開しています。
ストーンヘンジ: 精密な「宇宙カレンダー」として機能したストーンヘンジの秘密、そしてモアイ像をはるかに凌駕する50tの巨石を立てた上にさらにつなぐ石を乗っける技について筆者の自論が展開されています。またオーブレー穴という56の穴が月食の周期と相関していることなど…驚異的な天文施設だったことが明かにされています。
古代ギリシャ・ローマ: 現代建築を超える「超」耐久力を持つ古代コンクリートは生石灰でなく消石灰が原料として用いられたことをはじめ様々な要素が関わっていてローマ帝国とともに失われてしまったこと。むしろこういった点からは現在のコンクリートが進歩していない状況であることなど指摘されてます。
その他、メソアメリカ・アンデス文明での 精緻な石組みがどのようにして築かれたのかを分析、兵馬俑で 一体ごとに異なる顔を持つ兵馬俑がどのようにして作られたのかを探られたりと世界が網羅された内容となっています。ともあれ思ったのは時代が進んだから常に技術が進んでいくというわけではなく経済と合理性を重視してしまうと失われてしまう技術が存在してしまうという点です。その点、古代ではじっくり時間をかけても最高のものを作らせるという権力者の後ろ盾もあったのでしょう。ここら辺、短絡的に利益を出そうとすると結局本質を見失ってしまうという製造業の闇にも通じるものがあるような気もします。
半導体物性技術者である筆者はピラミッドのカタチから結晶方位、ピラミッドの形成方法は2次元結晶の成長過程とアナロジーがあるとの指摘。確かにSiピラミッドとピラミッドの傾斜角はかなり近い。結晶的に安定なものは建造物の構造としても安定ということは言えるのかも…



