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我々はどこから来たのか、どこへ行くのか

 

新版 日本人になった祖先たち DNAが解明する多元的構造 NHKブックス 

篠田 謙一 (著) 
先日の特別展で手に入れてきた本です。鳥の世界もDNA解析で分類の見直しなど実施されていますが人間の方もこの20年近くのDNAの解析でかなり常識そのものが塗り替えられてきました。この本は2007年に出版されたものですが昨今の研究結果を基に2019年に再編されたものです。日本人の起源の本ですが前半は新人がどのように拡散してきたかを述べてアリ日本人の起源に行く前の前提が添えられています。後半は日本人の起源について従来の2重構造説の常識がDNA解析で代わりつつあることが記されています。
 まず世界の現代人の分類でいうと4つ大きなグループ(L0,1,2とそれ以外)があるのですがそのうち3つがアフリカに在籍していて新人の起源であるアフリカは実はDNA的には多様性がある地域となっています。それ以外のところは大きく3系統ありアフリカのみで構成されるL3、アジアのみで構成されるM、アジアとヨーロッパで形成されるNとなっていてアフリカの多様性が目を引きます。これは新人が誕生した場所というのもあるので大きな遺伝子変異が起こると知ったら再びこの力となる可能性もありそうです。
 アフリカから旅を始めた新人ははだんだんと拡散していきネアンデルタール人などすでにユーラシア大陸にいた人たちとも交雑しながら広がっていきます。アジアへは6,7万年前に進出したとのことですがヒマラヤ山脈の北と南で2つのルートありとのこと。日本人のDNAはグループ的には以下
D:約4割でアジ化後半に見られるもの、弥生時代に日本に入ってきた
B:13%程度。起点は中国南部でそこから拡散し、環太平洋に広がるグループ
M7a:7%程度(沖縄では1/4の人)日本人の固有で多い、サブのb,cは中国南部、東南アジアを中心にみられるので氷河期で陸続きだったころのアジア島南部付近が起源か?
その他北東アジアのマンモスハンター系譜のA、北方集団のGなど7%付近の割合を持つ集団が続きます。
 日本人の起源に関しては今まで日本人の基底集団である縄文人に対して本州に大陸系弥生人がやってきて南北に拡散したという2重構造説が優位でした。ただDNA的には沖縄、アイヌ、本州と異なる特徴があり、沖縄とアイヌはまた違った特徴があることも踏まえると話はそう簡単ではなさそうで渡来系の弥生人に飲み込まれたのではなく九州に渡来してきた人たちと交流した人たちが縄文人のDNAを持ちながら混血として稲作という手段で人口を増やしながら勢力を拡大していったというのが正しい解釈となりそうです。この時、狩猟民である縄文系と稲作農耕民である弥生系が交わる時に後者の方が圧倒的に人口が多いということでだんだんと縄文系の人が飲み込まれたというのが考えられることです。
 こういったDNAの系譜から見ても日本人はこれだという絶対的な特徴は確かに10%程度の縄文系の規定集団はあるもののほとんどはアジア各地で散らばった特徴の組み合わせであり、変化自体はそこまで高くないというのが言えそうです。そもそも新人が拡散していったということで距離が近い国は基本的にDNA的な共通度も大きくなるわけでただでもさえ変異の少ない人類にとって人種と国における違いというのはそこまで大きくは無いとも言えそう。 今後はますます相互拡散が進んでいくとすると非常に長いスパンで考えると人類もDNAは同じものを持つようになってくるのかもしれません。 
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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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