
![]() |
マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ (講談社+α新書) |
| クリエーター情報なし | |
| 講談社 |
マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ 山崎 明 (著)
高品質低価格の呪縛にとらわれた日本企業は、このままでは欧米プレミアムブランドに負け続け、韓国・中国企業から下から突き上げられ、存在感を失くしかけているというのが事実です。電通でBMW,MINI,トヨタ、レクサスソニーなどのブランディングをはじめとする国内外で実際のブランディング戦略に関わってきた著者が、プレミアムブランドの成立のプロセスを紐解きながら、日本企業・日本製品が高価格・高付加価値の世界商品になる方法を提言した本です。その中で注目しているのがマツダ。急成長を遂げる同社の戦略に、日本企業が隘路を脱するヒントを見出しています。ただあくまでマツダが取り上げられているのは一例で筆者が車好きということもあるようです。実際、ポルシェ ボクスターや911カレラなどを経てマツダロードスターに乗り換えたとのことで何ならぬ期待というのがうかがえます。
日本では欧州車信仰が強いのでマツダとBMWを比較しても一笑されるかもしれませんが日本ブランドとして生き残る道のヒントがあるのかと思います。
車や時計といったものは非常にわかりやすくブランドの価値を表すものだと思います。つまりは同じ性能であっても所有欲をもたらし、高くても欲しいと思わせるというのがシンプルにブランドの価値になるわけです。’(品質はある程度は価格に比例するのでしょうがあるところで飽和するLog曲線のようなイメージ)このブランド戦略をうまく利用している企業がフォルクスワーゲンです。ブランドの中にベントレー、ポルシェといったプレミアムブランドから中間のAudi、中間のVWさらにはSKODAといった低価格ブランドまで多くのチャンネルを使い分けているのですが中身がほとんど同じでもブランドを活用して高く売るというのをやってしまっているのがすごいところです。たとえばSUVのVW トァアレグ、とポルシェのカイエン ポルシェでもボクスターと911など部品など共通なものが多くても味付けや売り方によって利益率に差が出ているというのが面白いところ。これは各ブランドの収益率をみると非常にわかりやすくなんとVWグループの中でポルシェは4%の生産台数しかないのに27%の収益を占めています。最も大きい看板のVWは47%の生産台数で収益はたったの13%、Audiが最も収益のマスを稼いでおり21%の生産台数で33%の収益です。これは逆に消費者の立場からすれば最もバリューなのはVWと言えるのでしょうが逆にこれだけ高くてある意味かかったお金以上の値段をつけて売られているものに手を出す人が居るというのが事実なわけです。これは国際線の飛行機の座席の価格とも反映されるような事実だと思います。 人間の経済活動はどうしても感情的な作用が働くので完全には合理的にはならないという行動経済学を示した良い例だと思います。 なので企業としてはやはりこういう「美味しい」ところもきちんと取りに行けるようにするというのがあるべき戦略なのだと思います。特に階級の差が広がるにしたがって売れるものは低価格か高価格かの2極化する傾向が顕著になっているので収益を上げるためには必然的に高価格帯の方で売る必要があるわけです。
こういった戦略は日本ではあるようでないのが事実。特に高級なブランドを使うことによる価値と得られるイメージ、社会的なステータスと製品そのものの性能や品質が密接に結びついていなければいけないのですが… どうも日本の会社は八方美人なところがあってこういったメッセージが不明確なわけです。マツダは危機を介して自らのアイデンティティを確立する方向に戦略を切り、逆にコアなファンに向いたクルマ作りに経営資源を集中させる戦略に出ておりこの本でも取り上げられています。内燃機関の効率、人馬一体の感覚というのが単なるブランドイメージだけでなく実際のSKYACTIV D/Xといった製品やFRへの回帰、引き算のデザインに表れていると思います。 難しいところもありますが製品をベースにしながら販売、流通まですべてを統一して固めていく必要があります。 そしてそれは非常に時間がかかるもの。数年で結果が出るようなものでなく10年という単位で製品、販売、流通すべてが一貫したイメージを作る必要があり経営的な痛みは相当ありそう。
半導体は部品なのでこういった売り方は正直難しいものでほぼ性能≒価格となってしまうわけで逆にそれを安く作れるかという過当競争になるのが基本ですがこの会社でないとできない技術というのを確立できるかそれを模索し続けないとそもそもブランドみたいなものは出来ないように思います。日本としてというともっと日本らしい美学 侘び、さびといったシンプルでミニマル、スピリチュアルということを大切に日本語を大切にしていくことが重要だと改めて感じました。




