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人口減少社会の未来学 |
| クリエーター情報なし | |
| 文藝春秋 |
日本がこれから世界の先陣を切って経験する急速な人口減少、様々な見方があるわけですがこの本は内田さん+10人の論客がグッと凝縮して様々な意見をまとめたものになります。11人の考え、一見まとまりないと思ってしまいますがこの混乱ぶりが人口減少の何が起こるかわからない未来を暗示しているようにも思えます。人口減少は多少出生率が上がったところでスピードを緩めるぐらいにしかならないことは事実、ある意味生物的には自然過程なのだと思います。逆に少数精鋭で生き延びていくしかないということなのですが太平洋戦争の例にせよ日本の社会はあまりにも準備が出来ていないように思うというか日本人は危機に備えるというのはどうも得意でないのかもしれません。そういった面ではこれだけ騒がれていて確実な未来なのに社会的な準備がほとんどすすめられていないというのは脅威です。確かに法律は社会の変化の後ろについてくることが多いのですが社会的な制度はこれだけ色々な予測がされる中、先んじて準備できるのではないかと思ってしまうわけです。いずれにせよまだまだ余命もある(と思われる)ので自身のことに加え次世代に確かなバトンをつなぐことを考えていこうと思います。
おおまかな内容は以下…
・序論 文明史的スケールの問題を前にした未来予測 内田樹
人口減少と雇用環境の劇的変化に対して日本人がそのそも心の準備、議論すら出来ていないことへの指摘
・ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略 池田清彦
人類の発展の歴史を生物的に見るとそもそも混血で成り立っており、日本も移民を受け入れていけば日本人そのものの定義は大きく変わってくる可能性あり。
そもそも人口減少は個人の幸福追求の結果。AI時代の社会制度の救世主はベーシックインカムで最終的には定常的な社会が生み出せるのではないか。
・頭脳資本主義の到来 ―AI時代における少子化よりも深刻な問題 井上智洋
AIが単純労働を代替することにより頭脳資本主義の時代がくるが、日本では相変わらず無価値労働(労務管理や資料作り)に振り回されている労働者が多い。
知力の衰退は国の衰退につながる。
・日本の“人口減少”の実相と、その先の希望 ――シンプルな統計数字により、「空気」の支配を脱する 藻谷浩介
実際の負担は高齢者の比率ではなく高齢者の実数の問題であること、つまり、実は高齢化率が高いが人口が少ない地方よりも、
多数の団塊世代を抱えている都市においてこそ今後の高齢者負担が問題になること=東京はまずい
・人口減少がもたらすモラル大転換の時代 平川克美
少子化の原因は、既婚女性の出生数の減少ではなく、一に晩婚化・未婚化であり、これは自由と発展の代償
・縮小社会は楽しくなんかない ブレイディみかこ
縮小社会肯定論を目にすることが増えてきたが、イギリスの実例から、縮小社会はやはり厳しい現実がある。
また、国家財政においては家計とちがい節約・借金返済は負の効果が大きいこと。むしろ少なくとも拡大を目指す希望が持てる未来を。
下り坂をあえて上る戦略を
・武士よさらば――あったかくてぐちゃぐちゃと、街をイジル 隈 研吾
武士が時代遅れの職業となったように建築業も世間から取り残されているところがある。より人間に踏み込んだ関係性を。
・若い女性に好まれない自治体は滅びる――「文化による社会包摂」のすすめ 平田オリザ
日本の特異点、出生率2.81の岡山県奈義町の例の紹介。文化として社会包括を実施してやることがセーフティネットになる。
まずは女性を呼び込まないと始まらない。
・都市と地方をかきまぜ、「関係人口」を創出する 高橋博之
生産者と消費者をつなげる試みの紹介、被災地域には定住者が無くともかかわりあう関係人口を増やすことで街づくりを支えることが出来る。4
・少子化をめぐる世論の背景にある「経営者目線」 小田嶋 隆
1970年代の人口予測がものの見事に外れた結果が約半世紀を経た現在の人口構成であることを考えれば、いまから半世紀後の2070年の人口予測がどうなるかわからない
・「斜陽の日本」の賢い安全保障のビジョン 姜尚中
外交的にも斜陽な国にふさわしいスタンスがある。現状維持でなく柔和な対応を。




