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動的平衡3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ |
| クリエーター情報なし | |
| 木楽舎 |
福岡先生の動的平衡3作目。月刊誌ソコトコに掲載された9編の話を再構築したものです。テーマは、生物応用の人間組織論、細胞レベルの老化、STAP細胞騒動、遺伝する記憶、遺伝子の研究方法、がん細胞と免疫、芸術論、腸内細菌の意味など多岐にわたります。自分のような生物に関しては素人の一般人が生物の世界をかじるには面白い内容です。
エントロピー増大に打ち勝つために生命が身に着けた裏ワザである動的平衡を今回は組織論へ応用してみるという話題もありました。まあある意味人間の体も細胞が集まってそれぞれの機能を達成する組織なわけでそれぞれの役割が明確に定められています。そういった意味では人間社会の組織とアナロジーの関係にあるといっても良いのでしょう。ある意味生物の体というのは機械とは対極にあるものだと思います。機械であれば壊れたものは(壊れる前に)部品自体を交換するのですが人間の体というのは壊れないように常に壊して(分解して)新たなものに作り変えていくということをやっているわけです。それはいつでも可変であり柔軟であるとい利点があります。(人間の体の組織は3か月―半年で置き換わっていく…)この柔軟性が故に生物の体というのは自律分散的でもあるわけです。緩い連携で成り立っているので基本は現場での摺合せに任せているといういい方でいいかもしれません。そういった感じに考えると脳もあくまで司令塔や中枢という考え方でなく、各部局に情報をつなぐサーバーみたいなものと考えればよいのかと思われます。この生物の組織の形というのが人間の組織の理想というのにまさに当てはまらないだろうか…というのが福岡先生の考え方です。つまりは中央から余計な指示を出さずとも現場の自律性を重んじて最大限末端組織が動きやすいように最適化してやるのが人間の組織でも理想になるのではないかということです。これは大きな組織ではある程度そうならざるを得ないところではあるのですが確かに「アメーバ経営」のごとく個人の意識と力と周りへのすり合わせがいかに各パートで高度にできるかというのが組織としての成績を決めているような感覚は同感でした。
あともう1点興味深かったのがそもそも5年ぐらい前の発表であはあるのですが「記憶が遺伝する」というのが示されているという点。生物学的な特徴だけでなくDNAの働き方を作用させる情報というのが遺伝されている>エピジェネティクス ということ。とすると自分の学んできた生き方や経験により身に着けてきた考え方というのも少なからず影響を与えているということになるのだと思います。悪いところは反面教師になってくれればよいですが… はたして。




