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十字架

十字架 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

いじめを止めなかった。ただ見ているだけだった。それは、「罪」なのですか――?
自ら命を絶った少年。のこされた人々の魂の彷徨を描く長編小説。

いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。吉川英治文学賞受賞作。

重松清さんの作品。とんび以来3年ぶりぐらいになりますが読んでみました。
映画化され2月に公開されます。結論から言うと心を揺さぶられる物語でした。

いじめという問題に対して正面から向き合った作品と言えます。実はこの物語はフィクションではあるが「核」となる物語があることを重松さんは巻末のあとがきで記しています。
2006年のNHKのドキュメンタリーで重松さんはこの物語の設定と同じ中学2年でいじめで苦しんで子供を亡くした親に対してインタビューをしていたとのこと。その際に交わしたいじめた対象に対して恨んだりはしていないが許してはいない… ということを胸に深く刻まれたことです。
重松さんの作品は前回よんだ。とんびのようにこういった人間としてかなりつらいところに対してどのように立ち向かっていくのかを正面から描いた作品が多いのですがこの話も深くころを揺さぶられる内容でした。
思えばいじめというだけでなく係りたくないという理由で見殺しにしてしまうというのは良くある話で都会の中でもしばしば問題になります。もちろん逆に勇気をもって助けたケースなども聞かれることがありますが少数派なのでしょう。いじめに関してはここまでひどいものではなかったにせよ同じような経験もあるので少しは気持ちがわからなくもないです。であるからこそ加害者にならないことや連鎖を広げないことは最低限自分が出来ることなのかと思います。

こういった人生に開いた穴というのを表現するのに十字架というのはとても良い表現だと思いました。人間というのはどこかでこういった埋められない穴を抱えて生きていくものだと思います。自分も少なからず色々な穴を抱えつつも前に進んでいくしかないと感じています。これからももしかしたら新たな十字架を背負っていくのかもしれません。

作品中にスウェーデンの世界遺産である森の墓地が出てきます。筆者も実際に訪れたようです。

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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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