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失敗の人体進化史

今日はすばらしく良い天気ながら休日出勤。朝は放射冷却でかなり寒くて走っていても汗をかかなかった。もうそろそろ道路の凍結も心配な季節。寒い中、じわじわと体が温まっていく感覚はとても心地いいと思います。

人体 失敗の進化史 (光文社新書)
遠藤 秀紀
光文社

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解剖男」の筆者であり「遺体科学」を提唱する遠藤秀紀さんの本。人体の構造などは非常にうまく作られていると解釈されることが多いように思いますし自分も生物というのは進化を経て非常にすばらしい構造を手に入れたと思っていましたが現実はそうでもない様子。 人体の構造の進化から分析した人間の体の進化史を分かりやすく解説した本です。 二足歩行と巨大な脳、人類の進化は他の生物と比較しても明らかですがその代償は少なくなかったようです.

遺体=体の構造から分かることというのは客観的に生物がどのように体の構造を変えて進化の歴史をたどってきたのかということ。半導体で言えば新しい世代の製品が出たときに調査会社が断面解析や回路解析をすることによってその作成プロセスや回路の動作方法を推測することと似ています。

■鳥類と哺乳類運命を分けた設計変更
胴体と腕の骨をつなぐ部分=前肢帯には鳥口骨と肩甲骨が備えられていたが
鳥類はより背中よりで上腕骨と関節を作る鳥甲骨を選択し方の軽量化を図った。 哺乳類はより胸の側面に接続する肩甲骨を選択した。ケンタッキーのチキンにも弱弱しく退化した鳥の肩甲骨が残されている。

■耳の進化はその場しのぎ
耳は槌、砧、鐙という3つの小さい骨で音=空気の振動を増幅しているが
爬虫類のように地面の近くに頭があれば地面の振動でも十分なので耳小骨の発達は必要なかった。アブミ骨は頭蓋骨から、上顎側の蝶番からキヌタ骨を下顎側の蝶番からツチ骨をヘッドハンティングして聴覚を発展させた。
そのためにもともとの蝶番部分はなくなってしまい、哺乳類の蝶番部分は頭の骨と下顎の骨の一部を使って作られた。

■へそのはじまり
へそは哺乳類に特有なものでなくカメにも存在する。もともとは栄養素や老廃物を保管しておくための卵黄嚢や尿嚢とをつなぐパーツだったが哺乳類は卵黄嚢や尿嚢を退化させ子供を育てるための子宮とへそがつながる先としてのプラグ側の胎盤を発達させへそはそのまま利用した。

■肺の存在がもたらした非対称への変化
 肺は魚の浮袋を利用して進化した。魚はえらを通って綺麗になった空気を心臓から循環させるだけだったので左右対称の構造でよかったのだが肺は浮袋というからだの一部の器官を発展させたためにわざわざそこに血液を循環させるために心臓に非対称な構造(右心房右心室)が必要になった。その変更を受けて肺も非対称な臓器になった。

■2足歩行は前代未聞の改造
 4足歩行の動物と明確に異なる点。
 ・衝撃の吸収できるかかとの大きさと土踏まずの存在でも示される体重を支えることの出来るアーチの存在。
 ・大きな骨盤で下に落ちていく臓器を受け止める
 ・横隔膜に密着させて肝臓の落下を食い止める。
 ・お尻の筋肉の発達により4速歩行時よりもさらに後ろ側に足を蹴られるようにした。
 ・背骨をS字型にすることによって得られた前後のバランス。

■人間の特異点
 母指対向性と呼ばれる親指が他の手と向かい合っている構造
 確かにこうなっていなければ鷲づかみしかできない。
 猿人の400ccという脳面積から現代人の1400ccという400万年での急激な進化し
 前肢は肩こりに悩まされるようになる。

 2足歩行によって足から頭までの血流をめぐらすために心臓には大きな負担がかかるようになり冷え性や貧血が問題に。

こんな進化をうまくやったというのかそれとも失敗だったというのか人それぞれなのでしょうがそんなことを自ら考えてしまうというのも不思議なものなのだと思います。

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仕事は半導体デバイス開発。 趣味としているEnduranceスポーツと 日常の出来事を綴ります。

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